今から160年以上も昔、旅人たちに評判のお菓子がありました。
嘉永5年(1852年)、黒船が来航する1年前のお話です。奥州街道郡山宿のお茶屋で、ひとつの饅頭が誕生しました。食べた人が美味しいと和んでくれるよう、ただ包むだけではなく。まごころを込めて、薄い皮でたっぷりの餡を包んだお饅頭。あまりの美味しさから、遠回りをしてでも食べたい饅頭、と旅人たちの間で評判になっていきました。そのお饅頭こそが柏屋の「薄皮饅頭」です。
時代の変化により、当時のお饅頭とは使用している素材も姿も様変わりしてきましたが、ひとつだけ変わらないものがあります。それは、薄い皮でたっぷりの餡を、まごころ込めて包むということ。しっとりとした食感で、コクのある、ほんのりと甘い皮。その皮に包まれた餡は、なめらかなこしあんや、小豆の風味が活きた粒あん。一口頬張れば、やさしい甘さがじわりと広がり、すっきりとした後味から、ひとつ、またひとつと食べてしまう。
日本を代表する、三大まんじゅうの1つである柏屋の「薄皮饅頭」をご紹介します。